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日本でのデジタル教育状況

国内教育分野のタブレットは平均38%で成長も課題は予算 - IDC調査

[2014/03/07](マイナビニュース)
IDC Japanは3月6日、国内教育分野におけるタブレットソリューション市場について2014年1月に実施したユーザー調査と実績調査をもとに分析を行い、その結果を発表した。 本調査は、学校の教職員、塾/予備校の講師、学校に通う子供がいる親を対象にWebアンケートを実施し、教育におけるタブレット端末の導入状況、意向についてまとめたもの。さらに取材情報などを加味し、教育分野のタブレットの出荷台数と同ソリューション市場について2014年から2018年の予測を行っている。
国内教育分野におけるタブレットの出荷台数予測(2013年~2018年) 資料:IDC Japan

これによると、2013年の国内教育分野におけるタブレットの出荷台数は25万台、タブレットソリューション市場の売上額は260億円になるという。ここでいうタブレットソリューション市場とは、タブレット本体、およびその導入に付随する付帯設備、アプリケーションなどを含む市場を指す。学校の場合、電子黒板、充電保管機、LAN設備、デジタル教科書、コンテンツ、校務支援システム、運用保守支援サービスなどが含まれる。

教育分野におけるタブレットの出荷台数は、2014年に43万台、2018年には128万台に達し、2013年~2018年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は38.7%になるとIDCでは予想。教育分野におけるタブレットソリューション市場の売上額は2014年に302億円、2018年には759億円、2013年~2018年のCAGRは23.9%と予測している。

Webアンケート調査で、タブレットの導入状況を学校の教職員に質問したところ「導入済(9.8%)」、「導入予定(20.4%)」、「導入予定なし(53.1%)」、「知らない(16.7%)」という結果となり、「導入予定なし」と回答した校長、教頭にその理由を質問したところ「使わせたいが予算がない」との回答が66.0%と6割を超えた。

逆に「ICTを使う必要性を感じない」の回答は、4.3%と少なかった。このことから、導入予定がないと回答していても、校長、教頭は、ICTやタブレットの導入に対しては肯定的な考えを持ち、政府あるいは自治体などのサポートによって予算が確保できれば、導入へ舵をきる可能性が高いと考えられる。

IDC Japanでは、「学校で本格的に普及するには、少し時間がかかりそうだ。学校より先に、塾/予備校/通信教育で需要が立ち上がる可能性が高い。また、通信教育で利用されているタブレットは、1万円前後で安価なものだが、自社開発にて教育分野に特化し、作りこんでいる。加えてこのタブレット用に開発されたコンテンツで成果を上げれば、学校で採用されることも十分考えられる。ITベンダーは、この先、学校での需要を取り込むためには、まずこの通信教育分野におけるタブレットソリューションのノウハウを吸収すべきである」と指摘している。

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【タブレット端末の教育活用】各教育委員会導入状況(2013/10/7現在)

特別支援学級・校や複式学級でも

タブレット端末の学校導入が進んでいる。平成24年度「学校教育の情報化実態調査」(文部科学省・関連1面)によると、学習者用端末は約30万4000台、そのうちタブレット端末は約3万6000台導入されて(25年3月時点)おり、タブレット数のみで見ると前回調査より1万台増となっている。現在進行形の整備ではタブレット端末の導入を検討している自治体が多いことから、次年度調査でこの数字はさらに増えそうだ。OS選択については各教委悩みどころのようで、小学校と中学校で異なるOSを入れるという自治体もある。

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実証校3校に82台整備 小学校にWindows 中学校にiPad―多摩市

東京都・多摩市では今年度予算でタブレット端末を小学校2校、中学校1校に先行導入する。

端末選定にあたっては、プロポーザル提案で(1)Windows(以下W)のみ(2)iOS(以下i)のみ(3)小学校W、中学校i(4)小学校i、中学校Wのいずれかの提案を指定。その結果、小学校はiPad、中学校はWindows8に決定した。

提案プレゼンには現場教員も参加。小学校では直感的に操作できる点、特別支援向けアプリが充実している点などが、中学校ではキーボードニーズが高いこと、技術家庭科のプログラミングソフトなどの既存資産が活用できることなどから、WindowOSとなった

今年度、中学校には1学級分としてタブレット端末42台、小学校にはグループ学習を想定して各校20台、計82台を導入する。タブレット端末はTVなど提示機器と連携して使う方法や、協働学習や移動教室での活用を想定している。

これにあわせて無線LANや充電保管庫、タブレット端末管理ソフトも導入する。なお中学校用タブレット端末は、コスト減のためキーボードを後付けできるものとし、キーボードは今後別予算で導入予定だ。

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複式学級の課題を解決 全20校にiPad179台―竹富町

沖縄県・竹富町教育委員会では2013年度沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)事業を活用し、タブレット端末、電子黒板、無線LANを11月末までに整備する。

電子黒板は小・中学校に各1台(70インチ液晶)を全20校に整備。

タブレット端末は小中学校ともiPadを選択。情報収集する中でiPadを活用している学校の事例が魅力的であったことが決め手となった。

端末は、教員用、児童生徒用合わせて合計179台を整備。各校においてクラス全員で活用できる台数+教員用2台を1セットとして導入する。既に導入されているデジタルTV(40インチ)やこれから導入する電子黒板への提示に関しては、今年度は有線で対応予定。導入アプリや電子黒板連携支援ソフトなども導入予定で、現在検討中だ。

無線LANは、校内、運動場、体育館でも使えるように整備する。

町教育委員会教育課の横目欣弥主事は「協働的な学びや外国語学習の強化充実、TV会議交流、調べ学習の充実、プレゼンテーション活動などにより表現力の育成など、期待できる効果は様々あるが、まずは複式学級の抱える課題を電子黒板やタブレット端末の活用で解決したい。現場ニーズが高まれば、次年度以降の追加導入も考えている」と話す。

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未来の学校創造プロジェクト 端末の有無で学習効果を比較―熊本県

熊本県教育委員会では、タブレット端末を用いた実証研究「ICTを活用した『未来の学校』創造プロジェクト」を今年度2学期から開始する。それに伴い8月2日、「熊本県『教育の情報化』推進フォーラム」を開催。当日は県内外から約500人の教育関係者が参集した。

フォーラムでは、タブレット端末を活用した模擬授業(小学校国語・理科、中学校理科、高等学校情報モラル)や好事例の発表、県内の先進市町村やフューチャースクール実証校などを中心に課題別ディスカッションなどが行われた。

実証校は、宇土中のほか、上天草市・登立小、高森町・高森中央小、高森東小、高森中、高森東中、山江村・山田小、万江小の7校。タブレット端末40台を新たに置く宇土中(宇土市)では、端末の有無による学習効果を比較。デジタル教科書の活用も視野に入れている。

タブレット端末のOSはWindows7及び8。8については10月中に8・1にバージョンアップ予定。既存の資産の有効活用からWindowsを選択した。これらの学校には、電子黒板も導入済。本実証事業については、3月初旬を目途に報告書としてまとめる予定だ。


フォーラムでは、個別学習や協働学習でタブレットを活用した

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更新でICT環境を刷新 プロジェクターやハイスペック端末―東京都

平成21年度に整備した都立学校のICT環境が本年度2月、5年間のリースアップを迎える東京都では、教員の声を反映して整備内容を刷新、今年度3月1日までに全教室にプロジェクターとスクリーン、タブレット端末を設置する。

都では「都立学校ICT整備計画」に基づき、平成21~22年度の2年間で全都立学校にICT環境を整備しており、今年度整備内容を刷新するのは、21年度に整備した都立高等学校88校(全189校)と特別支援学校10校(全56校)。

現在の都立高等学校の整備内容は、移動用カートにプロジェクター、スクリーン、携帯型電子黒板、PCをセットしたもの。

しかし現場からの「もっと準備が簡単な環境を」という要望から、今回は電子黒板機能付きプロジェクターとロール式スクリーン、ハイブリッドPCを全普通教室に、書画カメラは各校について2台を整備することとした。

「ハイブリッドPC」について都教育庁では、キーボードは標準装備で電源の持ちが良く、CPUやメモリ、解像度などもハイスペックなものを仕様とした。

その結果導入されたのは、キーボードが着脱できるハイスペックなタブレット端末だ。教員・生徒共用を想定しており、OSはWindows7とした。

プロジェクターは壁に固定設置できる超短焦点モデルで、電子黒板機能も使えるもの。

特別支援学校10校についてはタブレット端末と60インチ以上の電子情報ボードを整備する。

次年度は引き続き残りの県立学校の整備も進める。東京都では本整備により日常的なICT活用の刷新と学力向上等を期待している。

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小・中2校で1人1台 総務省事業で1月に整備―箕面市

大阪府・箕面市教育委員会では、市内の全小中学校の児童・生徒(約10700人)へのタブレット端末の導入をめざしている。これに先立ち今年度予算では、総務省「ICT街づくり推進事業」を活用し、2つの小中学校(約1050人)においてタブレット端末を導入する。

 小学校では1人1台、中学校では学年に80台の端末を1月に設置予定。導入校は、箕面市立彩都の丘学園(小中一貫校)(500名)と箕面市立第三中学校(550名)。端末OSは10月初旬には決定する。

教育センターの松山所長は、「端末により使用できるコンテンツが変わること、値段も変わることなどから決定は容易ではない」としながらも、Android端末になる可能性が高いと話す。端末決定に伴い連携ソフトも企業と協力開発を予定。 端末導入により、双方向性の授業や協働学習をより深めるツールとして活用する。また、反転授業や放課後学習など新しい学習スタイルも視野に入れている。

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特別支援学級にiPad アプリ約50点をインストール済―大和市

神奈川県・大和市教育委員会では、今年度中にタブレット端末(iPad)を市内小学校2校・中学校1校の特別支援学級(3クラス・49名)に計18台導入する。

導入校は、北大和小学校、桜丘小学校、光丘中学校。

市教育研究所の藤倉所長は特別支援学級に先行導入することについて、「平成23年に障害者基本法が改正され、新たに『適切な教材等の提供』が追加された。障害のある児童生徒が活用できる様々な支援アプリが提供されており、導入効果も早期に期待できると考えた」と話す。各校には有料・無料アプリ約50点をインストールしたタブレット端末を配備予定。

既に全クラスに導入済の電子黒板と連携した使い方も考えている。また、次年度予算において、全小中学校の特別支援学級へのiPad導入も視野に入れている。

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